演劇について(3)

ということで、「リリパットアーミー」関連、「三谷幸喜」関連の演劇しか観ていなかったのだが、ここで転機が訪れる。'95年の「君となら」(三谷幸喜作品)の時のことである。

「>GO FSTAGE」
演劇には一人では行かなかった。友達と一緒に行っていた。上記の作品も友達の分の前売りを買っていたが、その友達が用事があって行けなくなってしまった。他の友人にも声をかけたが演劇に興味を示してくれる人はいなかった。何しろ三谷幸喜がブレイクしてたもんで、高いチケットである。どうしようか悩んだ結果、思いついたのがネットで売るということだった。

当時のネットといえばインターネットではなく、いわゆるパソコン通信である。私はNifty Serveの会員であり、そこに「演劇フォーラム」(以下「Fステ」(NiftyのコマンドでFSTAGEなので)と略)があり、そのフォーラムにチケット売買の会議室があったのである。その頃は会ったこともない人とメールだけでやりとりする事には、まだ不安があったが、すがる思いで書き込みをした。ネットへの初の書き込みである。数日で幸いにも買い手が現れてくれた。

買い手の彼と初めて会った日は芝居が終わってから喫茶店で話をした。彼は私より10歳年下の大学院生、私はしがないサラリーマンだったが、普通だと何を喋っていいのか悩むところだが、演劇という共通話題があったので話が弾んでしまった。

この彼が、私を演劇の濃い世界へと導いてくれるのである。彼はFステのアクティブユーザであったからである。

その後もちょこちょこと観劇のお誘いなどのメールが来たりしていたのであるが、会うことはなかった。私は演劇は数ヶ月に1回という程度の観客であり、Fステを読むこともしていなかった。そんな折り、彼からメールが来た。Niftyのオフライン観劇会があり、彼が幹事をしているので参加しませんか?という内容だった。オフ会というのには興味があったので、また彼の強力なプッシュもあり、恐る恐る参加を決めた。この頃からFステを巡回しだした。

で、このオフ会が面白かったのである。演劇を楽しむより、人との交流の方が。初めて会う人とこんなに普通に話ができるのが不思議であった。参加者個々人が面白い人たちだったというのもあった。今思えば、このオフにはFステの大阪在住のアクティブな人が勢揃いしていたような気がする。

一度味をしめたものだから、そこからどんどんはまっていった。彼からの観劇お誘いには極力参加するようにした。演劇を観るというよりは、彼らと会い・話すのが楽しみであった。演劇の方もFステを読むようになって興味が広がり、毎週のように観劇へ繰り出すようになっていた。観に行くと不思議にネットの知り合いに会うのも楽しかった。

こうして'96年以降、狂った様に観だし、多い時で年間100本弱の観劇というはまりぶりになるのである。(つづく)

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