記念・日 〜苦い思い出〜
記念日ということでおめでたい内容にしたかったが、考えているうちに苦い思い出がふつふつとよみがえってきた。
小学生のころ、友達を集めお誕生日会をするというのが友達同士の決まりごとのようになっていた。楽しいはずの会、私は何人かの友達に声をかけ、わくわくしていた。
しかし、「○○ちゃんが来るならいかない」という友達が続出。私のわくわくは一瞬にしてどこかにいってしまった。
そのころの女の子同士というのは少し残酷で、日替わりで無視される人がかわったり ・・・そういうことが平気で行われていた。
その学校も田舎だったが、もっと田舎育ちの私は、いじめる、いじめられるという言葉の意味さえわかってなかった。いやな気持ちにはなったが、「なんで今日みんな口きいてくれないんだろーー」くらいにしか思っていなかったのだ。
そういえば彼女は日替わりではなく、常に、仲間はずれにされていたような気がした・・・ 私は迷ったあげく、残念なことに、彼女にこないで・・・と伝えた。
どういう言い方をしたのかは覚えていない、子供なりに気は遣ったとは思うが所詮子供なので、残酷だったことだろう・・・。
心を痛めながらも、その日の楽しさで、忘れてしまっていた。
誕生日会が終わった後、彼女が来た。「来られなかったから・・」と、紙袋を差し出した。その紙袋には彼女の使いかけの色鉛筆が入っていた。持つほうのところには、彼女の名前が書いてあるあるものだった。私の家も裕福ではなかったが、何かあれば、私が恥をかかないようにはしてくれていた。彼女は、プレゼントを買う ことができなかったのだろう。それでも彼女は、私の誕生日を祝う気持ちを私にくれた。私は、彼女の気持ちが「うれしくて」「切なくて(そのころは切ないと言うことも理解していなかったが・・・)」「罪悪感で」一人泣いた。
今までも自分が傷ついたり、傷つけたりはしていたが、いまいち理解していなかった。初めて、人を傷つけるということをはっきりと認識した日となった。そして、人の気持ちがうれしいということを認識した日となった。
その色鉛筆を長い間、私は、家で使っていた。見るたびに心を痛め、見るたびにうれしくなり、そんな不思議な色鉛筆だった。