ことのは

石垣島に行った時によくいくイタリアンレストランがあります。そこでは、島の食材を使った美味しい料理がいただけますが、今年訪れた際のメニューの一部がちょっと気になったので、今回はそんな話をさせていただこうと思います。

メニュー

特になんということのないメニューですが、今回のテーマは「カルパッチョ」です。メニューには「キンメダイのカルパッチョ」と「石垣牛のカルパッチョ」の2種類がありますが「石垣牛のカルパッチョ」はいいとして、気になったのは「キンメダイのカルパッチョ」です。

本来「カルパッチョ」という料理は、ヴィネツィアの画家「カルパッチョ」の色使いを元に作られた料理で、「生牛肉の赤」と「ソースの白」のコントラストが基本です。にも関わらず「キンメダイのカルパッチョ」だと全体的に白く、赤と白とのコントラストは、ありません。(実際には金目鯛の身は、少し赤いので多少は赤いのですが。)

もちろん間違えているのはありません。「カルパッチョ」の名前の由来は、上記の通りですが、現在では、牛肉に限らずマグロやサーモン、タコやホタテなんかを使ったカルパッチョは、ごく普通にあり「赤と白のコントラスト」よりも、お皿に平たくもってソースを掛けた料理を指す言葉になっています。

同じ様な例はいくつかあるのですが、もう一つご紹介しましょう。

私の大好きな「喜多方ラーメン」の本場、喜多方市の道の駅「喜多の郷」では、最近「ラーメンバーガー」が人気を博してします。結構手間がかかるらしく、1日の販売数量は限定で、ネットでも買えますが結構待たされたりします。(最近は、ちょっと落ち着いてきたみたいですが。)

バーガー

名前の通り、ラーメンを固めて「パンズ」の代わりにして、豚の角煮やネギ、メンマを挟んだバーガーです。パンズの代わりになっている「ラーメンの麺を固めた」部分が、しっかり醤油ラーメンの味わいで、すごく美味しくてボリュームたっぷりです。

ところで、何故バーガーなのでしょうか?本来「バーガー」とは「ハンバーガー」の略で「ハンバーガー」という言葉の意味から言えば「ハンバーグ」を「パンズ」で挟んだもののはず。まったく違うものですよね。

同じくハンバーグを食パンで挟んだものが「ハンバーグサンド」であることを考えると「パンズ」で食材をはさんだものが「バーガー」とも言えるかも知れません。「ハンバーガー」以外の、何かを何かで挟んだものは、言葉の意味から考えても「サンド」の方が正しい気もします。

「ラーメンバーガー」は、「ハンバーグ」でも無ければ「パンズ」でもないので、それを「バーガー」と言っても良いのでしょうか。もちろん何の問題もありません。それどころか、「ラーメンサンド」と言われるよりも「ラーメンバーガー」と言われた方が、実際の商品をイメージしやすいのでは無いでしょうか。

本来の意味とは少し違った使われ方をするけれど、決して誤った用法では無い。そんな「言の葉(ことのは)」沢山あります。たまには、そんな「言の葉」の元の意味を探してみるのもいいかも知れません。くれぐれも理屈っぽくならない様に。嫌われますよ(笑)

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