トレジャーボックス
株式会社福井洋傘という会社があります。この会社が出している「濡れない傘ヌレンザ」というのをご存知ですか?撥水性が高く浸透率の低い素材で作った傘で、雨に濡れても「サッ」と一降りすれば、ほぼ乾燥状態。どしゃ降りの雨の中、駅まで行っても「サッ」と一降りすれば、もう満員電車で、自分も他のお客さんも濡れずにすんでしまうというスグレモノです。
この傘が有名なのは、その優れた性能以外にも理由がありました。実はこの傘が生まれたのは「雨に濡れた傘で服が濡れるのが嫌だ」というクレームからだったのです。
福井の商工会議所が開催している「苦情・クレーム博覧会」というのがあります。今年で、5年目になるこの博覧会は、インターネット上で開催されているちょっと変わった博覧会です。この博覧会では、一般消費者が「苦情・クレーム」をホームページから登録することが出来、会員企業は、登録されたクレームの中から自分たちのビジネスのヒントになるものが無いかを探すというシステムになっています。そして、役にたったクレームにはポイントが付与され1ポイントに付き100円の報酬がクレームを登録した一般会員(一般消費者)に支払われる様になっていて、一般消費者も得をするのです。これは非常によく考えられていますよね。
昔からマーケティングの世界では「クレームは宝の山」と言いますが、実際にクレームの中から宝を探し出すのは非常に困難なことだと思います。それは、クレームには必ず感情が絡んでいるからなのですが、その為に、クレームを聞く方も(企業側)クレームの中から宝を探し出す労力を惜しんでしまうんですね。
ところがこの福井商工会議所が考え出した方法なら、クレームからうまく感情を取りのぞいて、見事に「お客様の声」にしてくれているのです。つまり
クレームの山 - 怒り・腹立ち(感情) = お客様の声データベース
ということをやってくれた訳です。これは素晴らしいシステムです。企業のみなさんも是非このシステムを活用して、よりよい商品やサービスを生み出して下さい。
ところで、「ヌレンザ」という名前ですが福井弁で「濡れないよ」という意味だとか。ちょっとベダなネーミングですけど、実は1本3万円以上する高級傘です。にも関わらず、一時は売れすぎて予約しても手に入るまでに2~3ヶ月待ちだったこともあるそうです。今では、そこそこ供給されている様なので、よかったらあなたも1本いかがですか?そして「どれぐらいすごいか」一度私に見せていただきたいと思います。
便利で素晴らしい傘だと言うのは、よくわかっているんですよ。でも、なかなか買えませんよね。だって「傘は天下の回りもの」なんですから。(笑)